2006年夏 - 高島 -

 2006年夏、長崎市高島町(旧・長崎県西彼杵郡高島町)を訪れた。「ふるさと高島 から石炭の匂いが消えつつある」という声を聞いたことが私を高島へ駆り立てた。

 長崎市香焼町の港から海上タクシー美津丸で15分。高島は、周囲約4km、人口756人、 世帯数453戸(平成18年7月末日現在)。2005年1月4日に長崎市に編入されるまでの旧高島町は、高島・端島・中 ノ島・飛島の4つの島からなり、現在有人は高島だけとなった。

 しかし、ここに昔、1986年(昭和61年)11月27日閉山までの106年間続いた炭鉱があって町が栄え、最盛期には約2万 人の人々が暮らしていたこと、そしてそれぞれの喜び、怒り、哀しみ、家族の楽しい笑い声があったこと、それらを 決して忘れないでほしいと、高島は語る。

 夏休みの日曜、海水浴場は家族連れで賑わっていたが、町には人通りはほとんどなく、暑さにめまいしながら石炭 の匂いを求めさまよい歩いている異風者(いひゅうモン)は僕らぐらい。けれども私は高島を忘れない。


2006年8月20日撮影


1978年(昭和53年)当時の高島全景(石炭資料館より)

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