北九州炭鉱樺津原鉱業所  福岡県田川郡香春町中津原


 香春町役場駐車場の片隅に「秋元近嘉翁像」がある。

 香春町の人口は現在約14000人。近年セメント産業を中心に発展してきた。その象徴が映画「青春の門」で 有名になった香春岳であろう。そんな香春町であるが、過去ここにも炭鉱があった。

 秋元近嘉は明治22年生まれ。北九州炭鉱鰍経営、本社は東京にあり、同人のふるさと福岡県田川郡香春町 には「北九州炭鉱樺津原鉱業所」を所有していた。

 「北九州炭鉱樺津原鉱業所」は、昭和11年に法人化、昭和36年閉山。 (福岡通産局編「九州管内炭鉱名簿」参照)
 香春町役場企画財政課によると、「中津原鉱業所は、現在の香春町総合運動公園付近にあったが、 今では当時の面影を残すものはほとんどない。ただ、同公園が「中津原鉱業所」のボタ山を整地して造られたこと から、同公園が小高い丘のうえに建ち、公園周囲の未整地部分の表層にボタが見られることが、昔ここに炭鉱が あったことを物語っている。
 その他にも、現在の県道八女・香春線と町内を流れる御祓川(ミソギガワ)、JR日田彦山線のちょうど3線 に囲まれた土地に数年前までボタ山がほとんど手付かずの状態で残っていたが、民間の宅地開発(現在休止中) によりその姿を消した」という話であった。

 しかし今回、筑豊の炭鉱に詳しい人の案内により、中津原鉱業所の坑口がまだ 存在していることを知る。

北九州炭鉱且ミ長 秋元近嘉翁像(2005年7月27日撮影)

 香春町役場に建つ秋元近嘉翁像の裏には、次のような紹介がなされていた。

 「北九州炭鉱且ミ長秋元近嘉翁は明治二十二年三月香春町に生る。天資瑟悟衆望厚く昭和4年より推されて町会議員たるこ と17箇年、町長に任ずること五箇年、比の間神社仏閣は勿論、小学校講堂中学校の建設、町内舗装に巨財を寄附する等貢献せ らる。又、博愛の念深く日本赤十字社より紺授章を授けられ、実に郷土稀に見る篤行者である。以て町民相議翁の像を建てて 長えにその徳を讃える。 昭和28年9月 田川郡香春町」

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