幻の旧国鉄油須原線  福岡県田川郡大任町(おおとうまち)


 油須原(ゆすばる)線は、石炭の貨物輸送を主要目的に昭和32年建設着工された。
 福岡県嘉穂郡稲築(いなつき)町にあった漆生駅(現在は廃止)から既設線を利用して日田彦山線豊前川崎駅(同県田川郡川崎町) につなぎ、同駅から田川線油須原駅(同県田川郡赤村)まで新線で結ぶ計画だった。昭和41年には上山田線が開業し、川崎〜大任 〜油須原の区間もほぼ完成してその開業を待つばかりだった。
 しかし、このころから時代が大きく変わり、石炭の需要も急激に減少。昭和45年9月には第二上山田炭鉱が閉山したこともあっ て、開業しても黒字は見込めないと考えた旧国鉄は工事を中断し、現在に至っている。
 その間、油須原線に接続する添田線(香春駅〜添田駅間12.1キロ)も昭和60年3月31日限りで廃止され、折角開業していた上山田 線も昭和63年8月廃止された。

 過去、福岡県田川郡赤村にある、この旧国鉄油須原線跡を利用して、「ふるさと鉄道保存協会・赤村トロッコワーキンググループ」 なるものが観光トロッコを運行し話題を呼んだ時もあった。

(2004年8月4日撮影)

 添田方面を望む。油須原線は進路を右へ90度変え、彦山川を渡った後、川に沿って並走する予定 であった。写真は大任町に残る彦山川橋梁である。添田線跡は左へカーブし、現在はそのほとんどが道路になっている。

BACK